A判定論文の内容について勉強している受験者の方々に向け、必須科目(令和6年度 I-2)に関する複数のA判定再現論文を分析し、その要点を整理しました。
論文作成の参考にしていただければ幸いです。

問題文
令和6年度 必須Ⅰ-2(大規模災害後の復旧・復興へのDX活用)
(1)大規模災害の発生後にインフラや建築物等の復旧・復興までの取組を迅速かつ効率的に進めていけるようにするため、DXを活用していくにあたり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) 前問で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ
(3) 前問で示した全ての解決策を実行して生じうる新たなリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえた考えを示せ
(4) 前問を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
理解しておくべき政策内容
国土交通省の関連政策を以下にまとめました。
これらの政策は、大規模災害発生後のインフラや建築物等の復旧・復興において、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、迅速かつ効率的な取り組みを推進する上で、特に関連性が高く重要ですので、必ずチェックしましょう。
インフラ分野のDX推進
- 参照リンク: https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001587783.pdf
- 技術士二次試験用のKey Points:
○ 課題
・災害時の被災状況の迅速な把握と情報共有の必要性
・インフラ復旧作業の効率化と安全性の向上
○ 解決策
・ドローンや衛星画像を活用した被災地の迅速なデジタルマッピング
・ICTを活用した遠隔監視や自動化技術による復旧作業の効率化
・BIM/CIMの導入による復旧プロセスのデジタル管理
災害対応のDX
参照リンク:https://www.mlit.go.jp/tec/content/001633173.pdf
課題
迅速な被災状況の把握
災害時における広範囲の被災状況を短時間で正確に把握することが困難。
遠隔地からの効率的な支援体制
災害現場への迅速なアクセスが制限される中で、遠隔地から効果的な支援を行う仕組みが不足。
安全かつ持続可能な復旧作業の実現
現場作業の安全性を確保しながら、生産性を向上させる復旧作業が求められる。
解決策
- デジタル技術による迅速な調査
- UAV(ドローン)やLiDAR(レーザー測量技術)を活用して、被災地の広範囲な点群データを取得し、3Dモデルで被害状況を可視化。
- 衛星SAR画像を利用して土砂移動箇所を把握。
- 遠隔地からの技術支援
- 被災地の3Dデータを活用し、遠隔地から復旧計画を策定。
- Web会議システムによるリモート災害査定を実施し、査定時間を短縮。
- 自動化技術の活用
- ICT施工技術を活用し、復旧工事を自動化・遠隔化。
- 施工現場のデータ管理を進めることで、生産性を向上しつつ、安全性を確保。
A判定論文者が記載している課題
技術士二次試験の結果、A判定と評価された再現論文の内容を確認し、講師の視点を通じてA判定論文として太鼓判を押す論文を分析しました。
その分析結果をもとに、どのような課題がA判定論文につながっているのかを明らかにし、皆さんの論文作成に役立てていただきたいと思います。
観点 | 現状 | 問題 | 課題 |
生産性向上 | 自動化技術の一般化は進展していない | 大規模災害時において、マンパワーが不足している | 建設現場の遠隔化・自動化・自立化 |
早期復旧 | 大規模災害の対応は早期復旧が求められる | 大規模災害直後には、二次災害の危険があり、早期着手ができない | 建設現場の遠隔化・自動化・自立化 |
早期復旧 | 日本は地震大国 | 限られたリソースに対して、広域な被害規模となる | ICTによる広域調査と組織横断的なデータ利用の推進 |
人材育成 | 担い手の減少 | デジタル技術による生産性向上が不可欠 | デジタル技術に対応した人材育成 |
組織横断での効率的な情報伝達 | 2次元図面が主流 | 2次元データだと災害状況の部署横断的な視覚的な共有が困難 | BIMCIMを活用した3次元モデルの推進(情報の高度化) |
早期復旧 | 災害大国 | 高規格道路が被災すると、復旧が遅れてしまう | 災害時における道路ネットワーク早期復旧 |
A判定論文者の重要な課題以降の記述内容
A判定論文を取得するためには、重要な課題の選定が最も重要であり、これが論文の成否を大きく左右します。自分が書きやすい内容ではなく、技術者として関わるべき最も重要な政策上の課題を選定しましょう。
今回は、「建設現場の遠隔化・自動化・自立化」を重要な課題に選定しているA判定論文者が多数を占めていました。その課題に対する解決策、波及効果、懸念事項についても整理していますので、ぜひ皆さんの論文作成に活用してください。
最も重要な課題 | 解決策 | 新たなリスクとその対応 |
建設現場の遠隔化・自動化・自立化 | 施行の自動化 データの自動連携化 施工管理の自動化 | 情報漏洩リスク 情報共有の人員の制限、教育、マニュアルの整備 |
ICTによる広域調査と組織横断的なデータ利用の推進 | ドローン・衛星による調査 国土交通データプラットフォームの活用 ICTによるリアルタイム情報の発信 | 情報漏洩リスク 情報共有の人員の制限、教育、マニュアルの整備 |
建設現場の遠隔化・自動化・自立化 | 標準化・マニュアル化 民間企業の費用負担軽減 発注による仕組化 | 若手人材教育の長期化 OJTに加え、OFFJTを組み合わせて教育をしていく |
災害時における道路ネットワーク早期復旧 | 建設現場のオートメーション化 港湾・空港の利活用 建設プロセス全体の高度化(3次元化) | 情報漏洩リスク 情報共有の人員の制限、教育、マニュアルの整備 |
まとめ
技術士二次試験 必須科目(令和6年度)Ⅰ-2「大規模災害後のDX活用」について、A判定論文の記述内容を分析しました。
A判定を取るためには、技術者として取り組むべき重要な政策課題を適切に選定することが鍵です。今回は「建設現場の遠隔化・自動化・自立化」を課題に選定した論文が多く、それに関連した課題、その解決策やリスクを整理しました。これらを参考に、A判定を目指した論文作成にお役立てください。