必須科目対策:令和6年度(必須Ⅰ-1)交通ネットワーク強化

A判定論文の内容について勉強している受験者の方々に向け、必須科目(令和6年度 I-1)に関する複数のA判定再現論文を分析し、その要点を整理しました。

論文作成の参考にしていただければ幸いです。

問題文

令和6年度 必須Ⅰ-1
(1) 全国的なネットワークを形成するとともに地域・拠点間の連結及び地域内のネットワークの強化を目指す社会資本整備を進めるに当たり、投入できる人員や予算に限りがあることを前提に、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) 前問で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ
(3) 前問で示した全ての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ
(4) 前問を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

理解しておくべき政策内容

この問題は、「地域・拠点間の連結」と「地域内ネットワークの強化」に関する社会資本整備を進める上での課題を問うものです。A判定論文を作成するための大前提として、以下の政策をしっかりと理解しておきましょう。

第五次社会資本整備重点計画

社会資本整備を重点的、効果的かつ効率的に推進するための基本方針を示しています(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/content/001634081.pdf)

6つの重点計画のうち、重点目標3(持続可能で暮らしやすい地域社会の実現)は押さえておきましょう。

  • コンパクト&ネットワークの推進
    • 拠点エリアへの医療・福祉などの都市機能の誘導
    • 拠点間を結ぶ交通サービスを充実
    • 従来の公共交通機関に加え、地域の輸送資源の総動員による移動手段の維持・確保
  • 高規格道路等による地域・拠点の連係確保
  • 空港の機能強化
  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進

国土交通白書(令和4年度)

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001613614.pdf

地域が自らデザインする、持続可能で多様かつ質の高いモビリティの実現(P89)

  1. 地域交通法に基づく地域公共交通計画の策定・実施
  2. 過疎地等における旅客運送サービスの維持・確保(公共支援の下でコミュニティバスやデマンド交通などの地域ニーズに適した運送サービスの提供)
  3. MaaSの全国実装(移動サービスの面的な利便性向上や高度化を図る取組を行う事業者に対する支援(公共交通機関のリアルタイム混雑情報提供システムの導入・普及に向けたガイドライン))

まちづくりと連携した地域構造のコンパクト・プラス・ネットワーク化の推進(P92)

  1. 地域公共交通計画と立地適正化計画の一体的な策定・実施
  2. 鉄道駅の設置、総合的な改善や機能の高度化等
  3. 地域における交通のベストミックスの実現
  4. 賑わいのある道路空間の構築、居心地が良く歩きたくなるまちなかの創出

地域公共交通のリ・デザイン

https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000322939.pdf

  • 3つの共創の推進:
    • 官民共創: 地方自治体と民間企業が連携し、地域の実情に即した公共交通サービスを共同で構築する取り組み。
    • 交通事業者間共創: 複数の交通事業者が協力し、路線やサービスの最適化を図ることで、利用者の利便性向上と運営効率化を目指す。
    • 他分野共創: 医療、教育、観光など他分野と連携し、地域全体の課題解決と公共交通の活性化を推進する。
  • 交通DX(デジタルトランスフォーメーション)の実装:
    • 自動運転技術やMaaS(Mobility as a Service)の導入により、公共交通の利便性と効率性を向上させる取り組み。
    • デジタル技術を活用した運行管理やサービス提供により、利用者ニーズに柔軟に対応するシステムの構築。
  • 交通GX(グリーントランスフォーメーション)の推進:
    • 車両の電動化や再生可能エネルギーの地産地消を促進し、公共交通の環境負荷を低減する取り組み。
    • 地域のカーボンニュートラル実現に向け、エコフレンドリーな交通ネットワークの構築を目指す。

A判定論文者が記載している課題

技術士二次試験の結果、A判定と評価された再現論文の内容を確認し、講師の視点を通じてA判定論文として太鼓判を押す論文を分析しました。

その分析結果をもとに、どのような課題がA判定論文につながっているのかを明らかにし、皆さんの論文作成に役立てていただきたいと思います。

観点現状問題課題
まちの持続性、効率的な国土利用、持続可能な都市形成人口減少に伴い、都市が低密度化し、モータリゼーションの進行によりスプロール化が加速している。サービス提供者の撤退や利用者の流出、商業施設・公共交通機関の維持困難、地域サービスの低下が進行している。コンパクト・ネットワークの推進が必要。
人命保護、迅速な復旧災害時に土砂崩れ等で道路ネットワークが寸断されることがある。被災時の住民避難や緊急物資の輸送が遅延する恐れがある。災害時におけるリダンダンシー(冗長性)の確保が求められる。
持続可能なメンテナンス事後保全型のメンテナンスが主流となっている。メンテナンスコストの増加や突発的な事故の発生が懸念される。戦略的な維持管理の推進が必要。
国際競争力の強化グローバル化に伴い、国際競争が激化している。港湾や空港へのアクセスが悪く、競争上の問題となっている。空港・港湾へのアクセス強化が必要。
魅力ある街づくり少子高齢化が進行している。移動困難な世帯が増加し、ネットワーク交流が妨げられている。ユニバーサルデザインの推進が必要。

A判定論文者の重要な課題以降の記述内容

A判定論文を取得するためには、重要な課題の選定が最も重要であり、これが論文の成否を大きく左右します。自分が書きやすい内容ではなく、技術者として関わるべき最も重要な政策上の課題を選定しましょう。

今回は、「コンパクト・ネットワークの推進」を重要な課題に選定しているA判定論文者が多数を占めていました。その課題に対する解決策、波及効果、懸念事項についても整理していますので、ぜひ皆さんの論文作成に活用してください。

最も重要な課題解決策波及効果懸念事項とその対策
コンパクト+ネットワークの推進立地適正化計画制度の利用推進 地域・拠点間ネットワークの連携強化(LRTの導入、オンデマンド交通の導入、交通結節点のシームレス化、Maasの導入) 先進モビリティサービスの導入 地域インフラ群戦略マネジメントの推進維持管理費用の縮減 自動車依存の脱却によるCO2削減取り残される集落の生活環境の悪化:対策として既存ストックの有効活用、スマートシュリンクの推進  
コンパクトシテイの推進立地適正化の推進 交通結節点の強化 公共交通の充実 ユニバーサルデザインの推進市街地の活性化 維持管理コストの縮減郊外の生活環境や治安悪化の恐れがある:対策として空地の集約し、緑地・市民農地・文化施設等への利用促進

まとめ

技術士二次試験 必須科目(令和6年度)Ⅰ-1「交通ネットワーク強化」について、A判定論文の記述内容を分析しました。

A判定を取るためには、技術者として取り組むべき重要な政策課題を適切に選定することが鍵です。今回は「コンパクト・ネットワークの推進」を課題に選定した論文が多く、課題、その解決策や波及効果、懸念事項が整理しました。これらを参考に、A判定を目指した論文作成に活用してください。

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