令和5年度_必須科目Ⅰ-1(国土強靭化)解説

令和5年度技術士第二次試験問題の必須科目-Ⅰ-1では、国土強靭化計画に関する問題が出題されました。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/009/attached/attach_9639_1.pdf

ここでは、国土強靭化計画に関する必須論文作成にあたっての要点を解説していきます。

目次

解説

課題

  • 必須科目Ⅰでは、政策の理解を問われています。
  • 国土強靭化に関する政策として、押さえておくべき政策は「第5次社会資本整備重点計画」及び「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」です。
  • これらの政策の内容を踏まえ、3つの課題を抽出できればベストですが、少なくとも、重要な課題は上記の政策から抽出しましょう。
  • 各政策の観点及び課題点を整理していますので、参考にしてください。

第5次社会資本整備重点計画

第5次社会資本整備重点計画の課題は、国土強靭化、防災減災および担い手の確保の3つの観点で整理ができます。各観点と課題を下表に整理しましたので、参考にしてください。

観点課題
国土強靭化・住宅・建築物及び公共土木施設等の耐震化
・密集市街地の改善整備 
防災減災・最大クラスの津波に対してハードとソフトの施策を組み合わせた多重防御による対策の推進
・交通ネットワークの多重性・代替性の確保など、交通・物流の機能確保 
担い手の確保・地方公共団体だけでは対応できない場合が多くあり、国と地方公共団体の連携・災害時の地域の担い手としての建設産業

■第5次社会資本整備重点計画(令和3年5月)

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/content/001406600.pdf

総力戦で挑む防災・減災プロジェクト

総戦力で挑む防災・減災プロジェクトでは、再度災害の防止、初期対応の迅速化・適正化の2つの観点で整理できます。各観点と課題を下表に整理しましたので、参考にしてください。

観点課題
再度災害の防止・盛土による災害の防止
・同じ地域で繰り返し発生する被害の防止・軽減
初期対応の迅速化・適正化・被災状況の早期把握
・交通インフラなどの早期利用再開

■総力戦で挑む防災・減災プロジェクト(令和4年6月)

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/img/summary2022.pdf

重要な課題及び解決策

重要な課題及び解決策を下表に整理していますので、参考にしてください。

重要な課題解決策
ハードとソフトの施策を組み合わせた多重防御による対策の推進①ソフト対策・マイタイムライン推進・避難訓練・ICTの活用
②ハード対策・粘り強い構造・密集市街地の解消・重要構造物の耐震補強、施設の耐震性能強化
早期の復旧体制の構築①BCPの策定
②重要インフラ管理者との情報共有・連携強化
初動対応の迅速化・適正化①被災状況の早期把握
・衛星やドローン等の最新の技術手法の活用
②交通インフラ等の早期利用再開
・地震計の増設や他機関震度の情報の活用
・適切な情報発信を含む帰宅困難者対策
DXの推進①国土強靱化に関する施策のデジタル化
・インフラDX技術の活用
②災害関連情報の高度化
・防災情報、災害情報、気象情報
交通ネットワークの多重性・代替性の確保など、交通・物流の機能確保①道路・高規格道路のミッシングリンク解消
・4車線化
・高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化
・無電柱化
・法面対策
②港湾空港
・構造物の耐震化 

新たに生じるリスク

まずは、リスクの概念をおさらいしましょう。

リスクには、2つの性質を持っています。

・その事象が顕在化すると好ましくない影響がおこる

・その事象がいつ顕在化するか分からず不確定

国土強靭化を推進するにあたり、る新たなリスクの例を記載しておきます。

・ハードとソフトの施策を組み合わせた多重防御を日本各地に展開するにあたり、ある地元自治体では、能力の欠如やリソース不足により、適切に対応できないリスクがある。

まとめ

今回は、令和5年度技術士第二次試験問題 必須科目Ⅰ-1の国土強靭化計画に関する問題を取り上げて解説しました。

東南海地震及び首都直下型地震の危険性が高まる状況であること、また激甚化する自然災害へのリスクの高まりから、令和6年度以降もケースを変えて(地震ではなく、大雨洪水等)出題される可能性はあるため、しっかり押さえておきましょう。

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この記事を書いた人

未来の技術者に技術士を!
【経歴】
・大手ゼネコンにてOIL/GAS/原発施設の実施設計・施工管理
・再生可能エネルギー発電所の開発~EPC事業における技術統括監理
【資格】
・技術士(建設部門)2013年取得
・技術士(総合技術監理部門)2023年取得
【学歴】
・国立大学 工学部修士
・国内MBA

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